ゲーム因数分解

感想を並べたいんじゃなく分析して開発に役立てたいんです

Android/iPhone『クラッシュ・オブ・クラン』を因数分解

クラッシュ・オブ・クラン (Clash of Clans)を App Store で

クラッシュ・オブ・クラン (Clash of Clans) - Google Play の Android アプリ

評価の高いゲームを分析して皆様のゲーム作りに役立てば幸いです。
今回は自分のお城を作り世界中のユーザと戦えるストラテジーゲーム。

概要

自分のお城を他ユーザから守り、
また自分のユニットを作成し他ユーザのお城に攻め込める。
手にした資源を元にお城とユニットを更に強化していく。
作る楽しみと攻める楽しみがある。
馴染みのあるテーマをスマートフォンのプラットフォームでうまく実現した。
ポイントとしては戦略性、バランス、マッチング。

戦略性、バランス

手軽に作れるが体力が少なく近距離攻撃のユニット、
手間がかかるが遠距離のユニット、
体力は無いが壁を壊すスピードには定評があるユニットなど、
城の作りに合わせた攻め方が求められる。
戦闘も完全オートではなく
    - ユニットの種類
    - 投入するタイミング
    - 投入位置
を自分で考える必要がある。

ユニットは使い捨てという思い切った仕様なので、
    - 奪った資源以上に消費してしまった。
    - ケチケチした結果対して資源が奪えない。
という事もある。

バージョンアップでゲームバランス調整も繰り返しているので安心して楽しめる。

マッチング

一番感心したのはここ。
- 一覧ではなく順々に対戦候補が出て来る
- 対戦するかの判断には時間制限がある
  その時間内に城の作りを見て戦術、勝てそうかを判断する。
- 攻められた後、反撃が許されるのは一回のみ
- 粘着プレイはできない

競合の反省

その昔、トラビアンというブラウザゲームがあった。
ヒット作だったものの敵に攻められた後の復旧に時間がかかるという仕様が致命的だった。
それまで作っていた自分のお城が蹂躙され、プレイ意欲すら奪ってしまう。
そんな過去作を当然把握してたと思うが本作はすぐに復旧するので、
精神的なダメージはさほど追わないように設計されている。

マネタイズ

主に時短。
右に倣えのガチャゲーも見習って欲しい。

実はリソースが多くない。
    ガチャで売るビジネスモデルだと商材の価値を維持しつつ、
    新しいものをドンドン追加しないといけない。
    要するに魅力的な新キャラ
    (それに合わせたパラメータであったりエピソード)
    を作り続けないといけないが、
    本作はそういった必要はない。
    運営としては違う部分に注力出来る。

開発の肝

マッチング仕様
    ユーザビリティもデータをロックする開発側の都合も考えられている。

操作性
    予め作成ユニット数を設定出来たり、
    押し続ければ出てくるユニットだったり、
    スマートフォン向けに良く練られたUI。
    作る時も攻める時も気持ち良く操作出来る。

雑感

スマートフォンのゲームでもこんなに楽しめるのかというのが第一印象。
負けた場合もリプレイ機能で見直す事が出来る。
実際は資源力がものを言うが知恵の使い方である程度結果を変えられるのが良い。
しかし、ここまで練られたタイトルでも最終的にはパターンが決まってしまう。
自分だけの城を作っている間は楽しいが、
それが上級者をなぞるようになった瞬間熱が冷めてしまう。

守る以外の目的があれば多様性も出てくるのだろうけど、
同時にゲームを複雑にしてしまうのでそこまで求められていないのだろう。